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IP気象センサ

ユビキタス研究所 井上博之

IP気象センサとLive E!プロジェクト

温度・湿度や雨量・気圧・風向などの気象情報の観測には、広い範囲かつ稠密にセンサを配置することが有効です。 また、1つ1つのデータ量が少なく、観測頻度がまばらである(たとえば1分間隔)、 多少のデータの取りこぼしは許されるなどの特徴があり、センサネットワーク向きのシステムといえます。 ユビキタス研究所では、センサネットワークの研究開発の1つとして、 気象センサのモデル化とネットワーク対応センサノードの研究開発を行っています。

Live E!プロジェクトという産学協同のプロジェクトがあり、 個人や組織により設置運営される気象センサ(デジタル百葉箱)が取得する気象情報を共有することで、 地球温暖化対応のような環境保護対策での利用、都市活動に関する情報教育、公共サービス、 ビジネスアプリケーションなどの分野での自由で新しい利用法を模索しています。 Live E!では、気象センサの密度を1kmなどの細かい配置を行うことで、例えば「現在の新宿3丁目の雨量」 のようなスポット的な情報も提供することを考えています。その場合、気象センサが大量に必要となるため、 機器コストと運用コストを下げる仕組みが必要となるため、センサの設置密度が高いことを利用して、 観測精度のばらつきの自動補正や故障したセンサを周りの正常なセンサで補完するような仕組みも検討しています。 例えば、アメダスでは都道府県ごとに数台が設置されているため、大きな範囲でしか現在の状況を捉えることが できません。

ユビテックでは、Live E!の発起人としてプロジェクトに参画し、センサやIP技術を応用し、 Web2.0技術を応用した気象情報の可視化などのテーマに積極的に取り組んでいます。 また、稠密に配置した気象センサから得られる情報を共有し利用することで、今後のビジネスに つなげていく考えです。

Live E!ロゴ

IP気象センサのプロトタイプの開発

2006年には、IPv6技術や組込み技術を適用しインターネットに直結できるようなIP気象センサのプロトタイプを 開発し、Interop2006のLive E!のブースに出展しました。可動部をできるだけ減らし、IPノードと 一体化することで、設置コストや設置面積の削減とメンテナンスコストの削減を実現しています。

一体型IP気象センサプロトタイプ外観

  • 特徴
    • 従来品に比べ低価格
    • 取り付けが簡単な一体型
      → フットプリント(設置面積)の最小化
    • 風向・風速センサに超音波式を使用するなどし、可動部分を最小化
      → 雨量センサ部分にのみ使用
         ドップラータイプ(ただし高価)を使えば、完全に稼動部無しも可能
    • IPホスト部を一体化
      → 取り付け、保守が容易
    • HDDなどの可動部なし
    • PoEによる給電も可能
      → UTPケーブル1本で通信と給電可能
    • 多彩なセンサを実装
      • 基本データ:風向・風速・気温・湿度・雨量・日照・気圧に加え、加速度(XおよびY)の取得
      • 振動や転倒状態を検出可能
      • GPSによる絶対位置と時刻の取得
        → 移動車両やフィールドでの設置に対応
    • Web画面による平易なユーザインタフェース(GUI)
    • IPv4/IPv6 デュアルスタック
    • 組込みLinux OSをベースにし、自由にアプリケーションを追加可能
    • Live-E!サーバへのデータ登録機能 (SOAP/XML)

一体型IP気象センサプロトタイプ構成

一体型IP気象センサプロトGUI画面 Interop2006での展示写真


Web2.0技術による気象データの可視化

ユビキタス研究所では、Web2.0技術を使ったセンサ情報の可視化についても取り組んでいます。 Live E!のセンサから得られた情報の可視化について詳しくは、Web2.0のページを参照してください。 ここでは数値データである気象情報を可視化した例をいくつか挙げておきます。

  1. Google Earthを利用して、3次元地図に降水量や温度などの情報を棒グラフで表示することで、 センサの設置場所とそこから得られたデータを直感的に理解できるようにしました。
  2. さらに、インターネット上の別のデータベースにある気象衛星からの雲の写真や台風経路のデータを 重ねあわせることで、自然現象をより理解しやすくしてみました。
  3. Google Mapを利用して、平面地図にセンサをマッピングし、そこをクリックすることでセンサ情報の 詳細を別ウィンドウで見ることができるような仕組みを作ってみました。
  4. 将来のイメージとして、1つ1つの建物やフロアごとにセンサが設置された時に、3次元での温度分布などの 情報を細かく表示することでヒートアイランドのような現象を可視化することにチャレンジしてみました。

気象センサのWeb2.0的可視化


既存のセンサユニット用IPセンサノードの開発

Live E!で使用されている、VAISALA社の気象センサWXT510、および、WeatherNews社の簡易気象センサWM918を 安価かつ安定してインターネットに接続するためのセンサノードを開発しました。 本装置は、インターネットに接続するためのIP気象センサ用ホストとして動作し、Live E!のデータベースサーバへの気象データの登録 などの機能を持ちます。

IPホスト部分の装置の外観は数センチメートル角と非常に小型・低消費電力になっており、 また、組み込みアーキテクチャを採用することによりハードディスクなどの可動部を排除し、 電源ON/OFFにも特別な手順を要しないものとなっています。

  • 主要機能
    • 気温、湿度、気圧、風向、風速、雨量の主要気象情報の測定。
    • 自身のWebサーバ機能を備え、ブラウザでアクセスすることで現在値を参照可能。
    • 気象センサからのデータを収集し、Live E!サーバへSOAP/XMLにて書き込む。
    • IPv4とIPv6の両方に対応。自動および固定IPアドレスでの運用に対応。
    • PoE(Power over Ethernet)による給電に対応。別売りのACアダプタによる給電も可能。
    • ファイアウォール機能を備える。
    • 学校などのネットワークで使用されているWeb Proxyにも対応。
    • 小型、低消費電力。
  • 外部インタフェース
    • インターネットに接続するためのRJ45コネクタ1基(PoE対応)
    • 気象センサに接続するためのRS232Cコネクタ1基(DSUB 9pin)
    • ACアダプタ用ジャック
    • LED(電源、動作状態表示)

WXT510と組み合わせた場合の外観を以下に、 典型的なシステム構成と設定・確認用Webインタフェースの画面例は次のようになります。

IP気象センサ 簡易版インタフェース 実装サンプル

IP気象センサ 簡易版インタフェース システム構成

IP気象センサ 簡易版インタフェース GUI画面


将来への展開

今後の展開として、ファシリティネットワークの技術と連携し、例えば、 以下のようなコンビニの省エネ、防犯、マーケティング情報などに利用できるセンサとしての 応用を検討しています。 また、大規模商業施設やマンションなどへの展開や、鉄道や道路沿いへの展開なども考えています。

コンビニへの適用

鉄道や道路の場合、ネットワーク設置のインフラに必要なコストを削減するように、気象センサが アドホックなセンサノードとして動作し観測データをリレー式に伝送していくような方式についても 検討しています。

気象センサの鉄道への適用

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